電子帳簿保存法支援システム：でんすけ
最終更新日: 2023/10/20 5:09pm
このページでは、電子帳簿保存法（電帳法）のための、シェア用ファイル名検索ツール「でんすけ」について説明します。
「でんすけ」はとてもシンプルなツールなのですが、以下の漫画を読んでいただけると電帳法対応になくてはならないツールであるとご理解いただけるかと思います。
図：でんすけ画面イメージ
以下では、かなり細かく「でんすけの機能」や「利用する上でのルール・制約」などについて説明します。
システム概要
電子帳簿保存法（電子取引関連）支援システム「でんすけ」（以下、「でんすけ」）は、弊社ファイルサーバー：シェア（以下、「シェア」）をお使いのお客様向けに「電子帳簿保存法（2022/1/1施行。2023/12/31まで宥恕期間）」における電子取引情報の保存義務に関する２要件
- 保存要件
- 改ざん防止措置
のうち、保存要件を満たすべく開発しているシステムです。
ここでいう保存要件とは、
- 関係書類の備え付け：システム概要書・仕様書、操作説明書、事務処理マニュアルなどを備え付けること。
- 見読可能性の確保：保存場所にPC、プログラム、ディスプレイ、プリンタおよびこれらの操作マニュアルを備え付け、記録事項を画面・書面に整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力できること。
- 検索機能の確保：取引年月日、取引金額、取引先により検索できること。日付又は金額の範囲指定により検索できること。二つ以上の任意の記録項目を組み合わせた条件により検索できること。
を指しています。
システムは弊社で独自開発しているもので、ブラウザーから利用します。
また、このウェブページは、システムの概略、概要仕様、使い方、画面説明を記述するものなので、「関係書類の備え付け」の大部分に充当すると考えています。
なお、改ざん防止措置についての対応するものではありませんのでご注意ください。
電子帳簿保存法やその要求・解釈についての詳細は国税庁のホームページをご参照ください。
利用イメージ
弊社シェアは「データを失わないこと」にこだわったファイルサーバーです。
この点で電子帳簿保存法の証憑（以下、「電子証憑」）の保存先として適していますが、シェアだけの機能で上の下線部を完全に満たすことは難しいと考えたのが開発の動機です。
（弊社で法令対応を始めた際、シェアを使い勝手よくしたかった、というのが正直なところなのですが。。。。）
以下の図はでんすけ利用時のイメージです。
経理の方は電子証憑をシェアに保存します。保存時には後述のファイル名規則に従ったファイル名をつけます。
でんすけは検索条件の合致するファイル名を探して一覧表示します。表示した一覧はCSV形式でダウンロードできます。
図：でんすけの利用イメージ
初期設定
でんすけを使い始める前に以下を設定します。
- ファイルを検索対象とするためにファイル名に付加するマーカー（後述）
- 検索対象とするファイル拡張子。複数指定可。
- 検索対象とするフォルダー（絶対パス）。指定したディレクトリの配下にあるファイルを再帰的に検索します。複数指定可。
ファイル名の規約
でんすけは、特定のフォルダーにあるファイルをその名前を元に検索するツールです。ファイル名は（国税庁の資料にあるように）
yyyymmdd_取引先名_金額_任意文字列_マーカー.pdf（pngなど）
となっていることを前提にしています。上で「マーカー」とはファイルを検索対象に含めるための文字列のことです。デフォルトでは「@@@」が指定されています。（変更可能です）
以下はファイル名のサンプルです。
20220101_アマゾン_1100_領収書_電子帳簿保存法テキスト@@@.pdf
機能の一覧
- 利用ユーザーの登録・ログイン機能
- 検索フォルダー指定機能（初期設定）
- 検索対象ファイル（拡張子）指定機能（初期設定）
- 日付（yyyymmdd）での期間絞り込み表示機能
- 金額範囲での絞り込み表示機能
- フリーワードでの絞り込み機能（１ワードのみ。部分一致検索）
- 絞り込み結果のCSVダウンロード機能
- ファイルリストからのデータダウンロード機能
- 最終登録更新日時、ファイルサイズ表示機能
検索機能
期間を指定した検索（期間検索）、金額範囲を指定した検索（金額検索）、取引先を指定した検索（フリーワード検索）を実行することができます。
図：でんすけの検索ボックス
画面の検索開始日は入力必須です。入力がない場合には、画面を開いた日（年月）の２ヶ月前の１日が設定されます。
金額範囲の下限のデフォルトは０です。入力がない場合には、上限を設定せずに検索します。
取引先名や特定のキーワードを指定したい場合には、フリーワード欄を利用してください。１ワードのみでの検索です。
フリーワード検索は
・部分一致検索となっています。ファイル名にメモを入れるとそれも検索対象となります。
・アルファベットの大文字小文字を区別せず検索できます。
・ファルダー名も検索の対象となります。
なお、期間検索、金額検索、フリーワード検索に指定した検索条件はANDとして機能します。
下の例では、2022/8/15から2022/8/20の期間、100円以上10000円以下、取引先Amazonの電子証憑を表示しいています。
図：でんすけ絞り込み結果画面
（注記）検索結果にはファイルの「サイズ」と「最終変更日」が表示されますが、最終更新日は（法令でいう）タイムスタンプではないことに注意してください。法令でいうタイムスタンプは改ざん防止措置要件の範疇ですので、でんすけの機能要件の範囲外となります。
CSVダウンロード機能は画面に表示されたファイル名のリストを整形した文書（Excel）として利用するためのものです。
上の検索結果をダウンロードしてExcel（Mac版）で表示したのが以下の図です。
図：絞り込み結果をCSVダウンロードしてExcel（Mac版）で表示したところ
画面の各行をクリックするとその電子証憑を確認することができます。
図：各行は電子証憑へのリンクになっています
図：電子領収書を表示したところ
（注記）
- 一覧画面にもどるにはバックボタンを使ってください。
- リンククリック時の挙動は利用する端末やブラウザによって変わってしまうことがあります。
フォルダーの運用例
以上で「でんすけ」の機能の説明は終わりです。
「でんすけ」は１つの決まったフォルダー（表示用フォルダー）配下のファイルを表示しますが、いざ使おうとすると、「どういうフォルダー構成にして、どういう運用にしようか」と大いに迷ってしまうかもしれません。
以下では、具体的に弊社の運用ルールを説明しますので、参考にしてください。
下の図で「でんすけ用」と書いたのが、表示用フォルダーです。
経理の作業は、社内の運用ルールにしたがって、特定のフォルダーで行われていると仮定します。これが下図で「作業フォルダー」と書いたもので、下の図では経費保存用と見積保存用の２つがあります。
図：でんすけのフォルダー構成とでんすけに表示させる方法
作業フォルダーにあるファイルをでんすけに表示させるには２つのやり方があります。
① 作業フォルダーにあるデータをコピーする
② 作業フォルダーからシンボリックリンクを貼る
以下にこの２つの実例をしめします。
①コピーする場合
以下は、弊社の経理様作業フォルダーです。フォルダー名は上から順に
06.経理 ＞ 月次資料 ＞ 月度 ＞ 経費
となっていて、ここに保管したデータを「でんすけ」に表示させたいとします。
図：経理の作業フォルダー
以下が表示用フォルダー（KD.経理保管資料）です。
弊社の業務運用として、月次作業が終了後、処理した月度の経費データをすべてコピー（実際は改ざん防止のため移動）しています。
図：でんすけ表示用フォルダー
② シンボリックリンクを貼る場合
以下は弊社の見積保存用の作業フォルダーです。フォルダー名は上から順に
17.見積 ＞ 02. 外注 ＞ 案件名
となっていて、ここにあるデータを「でんすけ」に表示させたいとします。
図：見積用の作業フォルダー
以下が表示用フォルダー（KD.経理保管資料）です。
経理作業と違い、見積作成・取得業務には「締め」の概念がないため、表示用フォルダーにシンボリックリンクを張ります。（お客様がこのような運用をご希望の場合、この作業は弊社にて行います）
パソコンからはみるとあたかもそのフォルダーにデータがあるようにみえますが、あくまで「でんすけ」に表示させるためです。
図：でんすけ表示用フォルダー
電帳法では「改ざん」に対する対策が重要ですので、上の例で言えば、①のように「月次処理を締めたら（作業領域から）責任者が移動してしまう」のが「よい運用」と思います。
しかしながら、営業担当者、購買担当者が主管する「見積」や「注文」、「請求」に関しては、データを移動することで業務に混乱が生じる可能性が大いにありえます。こういった場合には、②シンボリックリンクで運用するのがよいと考えています。
税理士・会計士の皆様
シェアのVPNをオプションを使えば、リモートアクセス機能を使ってセキュアにクライアント企業のでんすけを利用できます。
シェアのVPN機能はSSL-VPN方式ですので、
- 接続が簡単
- 証明書が入っている端末からだけ接続できるので安全
です。
図：でんすけを社外から閲覧する
ファイルサーバー「シェア」のご紹介
でんすけはシェアにバンドルされています。
シェアについては以下のページをご参照ください。
リンク：Share（シェア）：バックアップにこだわったファイルサーバー
オープンソース版
GitHubにオープンソース版を公開しています。
ざっと動作確認はしていますがバグがある可能性は否めませんので、利用される方の責任にてご利用ください。
ソースコードはとても簡単です。